sabato 6 dicembre 2014

Chichibio e la gru - 鶴とキキビオ

デカメロン(1349-1351)より鶴とキキビオ

 ジョバンニ ボッカッチョ (1313-1375) 作


ボッカッチョは”volgare”* と呼ばれた1300年代のイタリア語でデカメロンを書き上げました。ここでは、イタリア語上級レベルのみなさん向けに現代イタリア語で要約したデカメロンの中の物語の1つ、鶴とキキビオを掲載します。

* volgareは当時 ラテン語に対しての俗語という位置づけでした。

Prima parte -  第一部

(in italiano) -- (english)
 
昔々、フィレンツェにコッラド.ジャンフィリアッツィという貴族が住んでいました。彼は金持ちの銀行家で、とても寛容なことで名声高い人でした。彼はまた、鷹狩りの名手としても知られていました。フィレンツェ近郊の田舎で狩りをしていたある日、彼の鷹がまだ若い大きな鶴を捕ってきました。コッラド氏は喜び勇んで帰り、彼の優秀な料理人であるキキビオにこの鶴を本日の夕食の為に料理するよう言いました。

至って有能な料理人であるキキビオは、鶴を丁寧にそして上手に料理しました。料理がほぼ終わりにさしかかった頃には、おいしそうな匂いがキッチン中に立ち込めていました。そんな時、彼が夢中になっているブルネッタがキッチンに入ってきました。ブルネッタは普段料理に無関心なのですが、料理中の鶴を見たとたん彼にもも肉を食べさせてもらえないかたずねました。キキビオは彼女にこう答えました。”残念だけど、どうしてもそれは出来ないんだ!これは今晩ご主人とそのお客様に饗される料理なんだ。” ですがブルネッタは長い間しつこく彼に頼み込みました。初めは泣きついていましたが、最後にはこう脅したのです。”もし食べさせてくれないのだったら、もう二度と会うことはありませんことよ。” キキビオはついに降参してしまいました。ローストした鶴のもも肉1本を彼女にあげてしまったのです。

Messer: o messere 1400年代のイタリア語で “signore” の意。敬称のひとつ。
falcone: (鷹狩りの) タカ。見た目はハヤブサに似ているがより大きい。


ブルネッタはキキビオと話す時に il Lei (三人称単数形 敬称)ではなく、il voi (二人称複数形) を使っています。過去においては、敬語表現方法としてil voiが一般的に使われていました。それに対して現在は il Lei が一般的に使われるようになりました。ですが、南イタリアの多くの地方では今でも il voi が使われています。
訳 福島かほる


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